自作詩「時間の涙」

幸せだと時間はあっという間に過ぎる

辛い時間はいつまで経ってもなかなか過ぎない

ぼくは今、呆けたような顔をしてその時間の遅さを味わっている

辛いんです、この時間の遅さが


朝、起きて誰もいないダイニングでコーヒーを沸かす

いずれ、ぼくは妻に先立たれ、こんな朝を迎えるのだろうか?

階段がミシッとなったような気がする

霊魂で構わないからここに降りて来てくださいませんか?

辛いんです、ひとりぼっちのこの空間が


時間だって泣くんです

怒るんです、悶えるんです、落ち込むんです

今、ぼくの時間は抜けがらの時間になっています

時間の涙がしとしと窓の外に聞こえます

辛いんです、こみあげる涙がポトリともこぼれぬ哀しさが


人は死ぬことより老いていく方が哀しいと思いませんか?

あんなに若く溌溂としていた人が

いつの間にか、こんなにも老いてしまうなんて

ぼくが母に願ったことは、老いていってほしくなかった、それだけでした

辛いんです、老いて死んでいったその姿が


ぼくはいま耳をすませています

いましか聴けない何かを聴こうと

青い空のため息なのか

霊魂たちのささやきなのか

辛いんです、どんどん言葉を失って行ったその過程が


時間よ、ぼくの時間よ

ぼくにシンクロして悲しんで見せるのはやめてくれないか

君は老いていかないじゃないか

ぼくの時間が終わった途端、君はどこかへ姿を消すじゃないか

辛いんです、耳朶の底で聞こえた声さえ思い出せないでいる自分が



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この記事へのコメント

七海
2015年04月09日 18:55
階段の下から七段目なのです
踊り場からは下へ三段降りたときです
かならず腰をくずして泣きじゃくります

小窓からの明かりがうなだれ
薄く切りぬかれた影があって
そこからふわっと手をのばす気配があります

鋭角に折れた頸にふれ
そっと髪の毛をなでてくれます

いつしか涙がかわき
ぬぐった指先をはじくころ

トントントン
足音だけが降りていきます

心ゆくまで哀しみと向き合えば
哀しみに溺れることはない
そんな気がしています・・・わたしは
2015年04月09日 20:48
ぼくより七海さんのほうが、それはうんとお辛いでしょうね。お察しします。
そうですよね、心ゆくまで哀しみと向き合えばいいのですよね。ありがとうございました。
まだこもよ
2015年04月11日 09:04
兄さん 色々と大変でしたね。何も役に立てなくてすみません…。
2015年04月11日 10:34
こも弟、気を使っていただいて、ほんとうにありがとう。
人が死に往く時、人は何もできないものです。
悲しいくらいに無力です。
でも、気持ちは通じるような気がします。
こもちゃんのあったかい気持ちも伝わりました。

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