劇評「本の虫」~作・演出 桐原工務店~

2月19日(木)19時。

名古屋、伏見のG-pitで、牛乳地獄exact.其の壱「本の虫」を観た。

作・演出 桐原工務店。

SBKに出てくれた松野真司君(ショー君)が出演していて、誘ってくれたからである。

ま、たまには若い人の劇を見ないと刺激がもらえないからいい機会でもあった。

少し早めに小屋に着いて入っていくと、なんと可児・多治見の若手女優陣がずらりと並んで座っている。

りさちゃん、なっちゃん、ちえちゃん、ちゃーりー。

みんなまことに勉強熱心なことである。

もしくは、ショー君のファンというだけなのか、よくわからないが…。

遅れて、ひとりジャーちゃんも観劇に来ていた。

劇は、作・演出の桐原君の個人的な想いをあいりちゃんという後輩の女の子を通して語るという設定であった。

そういう劇とも独り言ともとれる、あるいは演技とは思えない現実的なやりとりから突然、演劇が始まる。

10脚のパイプ椅子と10人の男女が、極めてお芝居的に順々に役柄をリレーして行く、そんなシーンがテンポよく展開されていく。

手法は前衛的に見えるが、アングラ時代からの伝統的手法である。

ま、なんにせよ、若者の持つエネルギーを放射させるにはこれくらいのスピードが必要なのであろう。

テーマ的には、桐原工務店君の「演劇」に懸ける夢と現実の問題を、「小説家の夢」を諦めたあいりちゃんに重ねて語っているのであるが、これはちょっと卑怯な感じがする。

「本の虫」というタイトルもその意味では、私小説的な切り口にさえなっていない。

その言い訳があれこれ置いてあるのだが、やっぱり隔靴掻痒の感は免れない。

もっとも、台本的には相当揉んだだろうことは間違いない。

一シーン、一シーンの構成については、よく作り込んであった。

同時に、段取り的な場転などは実によく稽古されていた。

90分、しっかり見せてもらったとは思うが、ためらい傷が多すぎた。

シーン戻りも会社なのか、古本屋さんなのか、満員電車なのか決めた方がよかったと思う。

そして、「若者がいつの時代も追い込まれる現実と夢のはざまの苦悩」について語るのなら、もっともっと生活臭を出して描かないと共感性が薄い。

ぼくらの青春時代のアングラ劇は、なんでもかんでも社会が悪いせいにして、「大人たちが悪いんだ。そうは思わないか」という感じだったが、最近の若者は、その意味では、あまり攻撃的ではない。

どちらかというと、結構ニヒルに「演劇の夢を捨てきれない自分」を見ている。

その意味で極めて守勢的である。

そう思いながら観ていて思った。

最近の若い人の演劇台本は、哲学性の薄さを怖がっているんじゃないかと。

前衛的な見せ方やスピードもそれのカモフラージュに見えなくもない。

「バカじゃない。いい年こいてまだ演劇の夢を捨てきれないの?」

そう異性に罵倒されようが、開き直って「いいじゃないか。おれは、どうしても演劇が捨てきれないんだ」と。

そのパッションだけで、哲学性なんかなくても共感は得られる。

同じ90分使うのならそっちの方がメッセージ性はシンプルかつ強くなるはずだ。

ぼくはそう思った。

まぁ、でも、こういうのは好みの問題でもあるから、何とも言えないが。

ところで、ショー君は、あえてアウェイで武者修行しているのだろうか?

最近、やたら名古屋で若者の劇に参加しているみたいだ。

頑張ってうまくなってほしいものである。











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この記事へのコメント

ショー
2015年02月22日 00:59
御来場頂き誠にありがとうございました!!貴重なお言葉ありがとうございます!
牛乳地獄さんは前から一度はやってみたいと思っていた劇団さんだったので遂に、といった感じでございます。

が、頑張ります!!
2015年02月22日 16:43
や、や、や、ショー君。わざわざのコメントありがとう。まさか見てないだろうと変なこと書かずによかった。やばい、やばい。そう、やってみたい劇団さんのだったら、夢がかなったわけだ。
ま、いろんなところで経験を積むのはいいことだよね。
頑張って、また誘ってください。

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