いくつになっても命は惜しい

堀ちえみさんが舌癌の手術をなさったという。

11時間にも及ぶ大手術だったとか。

みな思うことはまだお若いのにということだろう。

ぼくの母は98まで生きた。

その母が、父の赴任先、加唐島で当時93歳だったお松さんという方の話をしてくれた。

ある時、不整脈でフラフラしながら診療所までたどり着いて、父にすがってこう言ったそうだ。

「先生、わたしはまだ死にとうない」と。

母は、この時のことを思い返しては、人間は93まで生きてもまだ死にたくないらしいよ、と言って笑った。

父もこのお松さんの不整脈が、お酒を呑んでそんなことしたらそうなるって見たいなことをしていたらしい。

重篤な病気ではないことを見抜いて、冗談言って帰したそうだ。

次の日、お松さんは酒が抜けたらしく元通りの元気さを取り戻していた。

いつもの速足で診療所にやって来て、ニコニコしていたという。

母は、ずっとその話をしていた。

自分も98で手術を受けながら、退院後のことばかり気を病んでいた。

死ぬことなど思いもしてない風であった。

もっとも、心の内はどうだったかはわからない。

桃のネクターを美味しいと言って飲んで、そのあと昏睡状態に陥った。

死はいずれやって来る。

年齢の多さだけが目安にはならないだろうが、母は、充分に生き、そして十分に死んだ、とそう思う。

堀ちえみさんもまだ死ぬには早すぎる。

頑張って、快癒してほしいと願っている。


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