健康法?

実は、ぼくは名古屋でたまに覗くお店がある。

とは言っても、近くにでも行かない限り滅多に行かない。

でも、たま~に顔を出して、とりとめのない話をして帰ってくる。

そこの若夫婦が、WSで知り合いになった若夫婦で、舞台はご一緒したことないが同じ演劇(朗読?)仲間である。

若いのに、二人共、時にグサッと臓腑をえぐるくらい鋭いことを言う。

「内心、自分の演技はまだまだだと思っている役者は十中十九…下手だよね」。

リア王の稽古をしている時そう言われて、“そうか…”と観念した。

先日、ふっと思いついて10ヶ月ぶりくらいに行ってみた。

実は、このお店の説明をするだけで結構ややこしい。

無理やりひと言で言えば、うどんを出してくれる喫茶店とでも言うのだろうか…。

いや、うどんを食べながらくっちゃべる喫茶店のようなうどん屋というべきなのだろうか?

ただ食事をしに来る人が圧倒的に少ないところだ。

潰れないのが不思議な店だ。

実質的経営者は旦那のお父さんなのだろうが、この方くらい可笑しなことを言われる人はまぁいまい。

自称、若い頃はなんばの芸人だったと言われるが怪しい。

ただとんでもない早口だ。

とても文字にしにくいことをガンガン口にされるから、大概の人はびっくりして、「あの方、ちょっとここがおかしい?」と言いたくなるらしい。(奥さんがそう言っていた…)

ところが、僕は最初っから、大笑いしながら悪乗りしたのがよかったらしい。

めでたく、いきなりメンバー入りを許された。

でも、だから、しょっちゅうは行けない。

疲れるのだ。

例えて言えば、高速道路を150㌔くらいで抜きつ抜かれつしゃべくるパワーがいる。

ハイスピードで笑い疲れ、喋り疲れる。

2時間も喋ってくると、脳みそがヘットヘトになっている。

ダジャレに関してはすぐ突っ込まないとお父さんのご機嫌が悪くなってくる。

若奥さんが、「あれがお義父さんの健康法だから許してやってください」と最初に言われた。

まぁ、いろんな健康法があるものだ。

で、先日行ったら、常連だったMさんが亡くなられたんだという。

毎日、2時間くらい歩き回る健康法を実践している方だった。

なのに72歳で亡くなったらしい。

まぁ、72歳だったら早すぎるということはないと思うが、お義父さんは彼の健康法を口を極めてこき下ろしていた。

「ありゃ、馬鹿だったねぇ。体が健康だから歩けていただけなのに、歩いているから健康だと思っていた。そう信じ込んでいるからなんともならない、超ド級おたんこなすの馬鹿だ」とこうだ。

うん、この方はこういうことをポンポン言われるのだ。

そう言われてみれば、確かにそうだ。

健康だから歩けているのに、と言われれば、そうかもしれない。

「あいつは青汁も毎日飲んどった。あんな不味いの我慢して飲むから早く逝っちまうんだ」

Mさんもじっと死んでられないくらいの勢いだった。

で、僕がつまらない質問をした。

「お義父さんの健康法は、なんですか?」

「あぁ、おれ?早く死んじまった奴の悪口を言いまくることやね。死人に口なしだろ?悔しかったら化けて出て来い、っつうんだ」

やれやれ、言わずもがなのことだった。

帰り道、「体が健康だから歩けていただけなのに、歩いているから健康だと思っていた。そう信じ込んでいるからなんとも救いようのない馬鹿だ」という言葉が消えなかった。

そう言われてしまうと、この世の健康法はみんなそうなる。

健康だからやれてるだけなのにって。

確かになぁ。
















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