「雨だれ」

今日、十二夜の稽古から帰ってくると、太田裕美、渡辺真知子、山本洵子などがテレビに出ていた。

何気なくそのまま見ていたら、太田裕美の「雨だれ」が流れてきた。

ぼくの大好きな歌だった。

太田裕美と言えば「木綿のハンカチーフ」が浮かぶと思うが、ぼくにいわせれば圧倒的に「雨だれ」のほうが太田裕美的である。

初めてラジオから流れてきたこの曲を聴いた日も雨の日だった。

涙が出そうなほど心に染みた。

その時の情景が今でも脳裏によみがえる。

ぼくがジュークボックスで初めてかけて聞いた曲もこの「雨だれ」だった。

直径15センチくらいのドーナツ盤がずらりと並んだ中から1枚だけを選び出してレコードをかけてくれる。

周りの人はただで聴けるのだが、お金を払ってかけたものからすれば「この曲はぼくのものです。あしからず」と言う気分になった。

だから、ぼくはジュークボックスを見つけると、必ず「雨だれ」だけは自分でかけた。

「おい、じろー、耳だれはかけんでよかとかい」、などと言った親友Sの嫌味な言葉も耳の底で鮮やかに甦る。

まさしく40年も前の話である。





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