うんこの懺悔-第3話

こういうふざけたシリーズものを始めると、神様が怒って「もっと現実を見ろ」と天罰を与える。

そのせいで、ここ数日、すっかり「うんこの懺悔」を綴れる気分でも、体調でもない。

でも、宣言したからにはなんとか折節に綴っていこうと思っているところである。

さて、今日の第3話はお金持ちのお嬢様との話である。

人間、特に若い頃はセレブのお仲間に見られたいという心理が働く。

ぼくは、医者の子ではあったが決してお金持ちの家系ではなかった。

ところが、ぼくの叔父さんが経団連のメンバーで当時、なかなか手に入らない帝劇のチケットなどをよくただで下すった。

価値を知っていたわけではなかったが、ぼくはもらうたびにせっせと通った。

ある時、歌舞伎座のロビーで成蹊大学のO君のご家族とバッタリ会った。

それまで知らなかったが、彼は住友財閥系のれっきとした御曹司であった。

しかも、当時高校生の妹がいた。

美人という程ではなかったが、十分教養もあり、ふくよかな愛くるしい笑顔は男心を魅了した。

ぼくはそれから何かにつけてO家を訪ねた。

ある日、どこに行ったかは忘れたが電車で駅を降りた頃からお腹がキリキリ痛む。

大慌てでKちゃんを急かして、トイレに飛び込んだ。

O家のトイレカバーはロココ調というのだろうか、やけに豪華なカバーを掛けてあった。

終わって、やれやれとズボンを上げた時、ぼくは凍りついた。

カバーの後ろ側が明らかに濡れて、汚れていた。

どうしようかしばし見つめていたが、妙案とて浮かぶわけがなくジッとしていた。

このままにしておくこともできない。

カバーを外そうとしたがこれがまたすんなり外れてくれない。

我を忘れて悪戦苦闘していた。

なかなかトイレから出てこないので、心配したKちゃんが声をかけてくれた。

ぼくは観念して全てを打ち明けた。

「トイレを開けてください」。

Kちゃんの目がまずぼくのズボンに落ちた。

「きゃっ、ごろーさん、ズボン、ズボン」。

ぼくはご丁寧にズボンまで汚していた。

浴室を借り、O君のパンツとズボンを借りて、汚れた物を片手にぼくはそそくさと帰った。

後日、O君に返さなくていいからと言われた。

その日からとうとうKちゃんとは会わずじまいになった。

正確に言うと、実は後日譚として渋谷のNHKの前の道路で向こうから歩いてくるKちゃんの姿を見た。

すれ違いざま、彼女の顔がわずかに歪んだ。

笑ったようにも、バカにされたようにも、悲しそうにも見えた。

こうしてぼくのセレブな世界は終焉を迎えた。

どっちにしろセレブにはなれなかった。

雑種犬は雑種犬らしく汚い路地裏でしゃがむのが似合っている。

ぼくは渋谷に行くたびにこの時の光景をまざまざと思い返す。










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